ストーリーテリングとは?初心者におすすめの作り方や事例も含めて解説!

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企業の動画制作で、「メッセージがうまく伝わらない」と感じたことはありませんか?

スペックや実績を並べるだけの動画は、どうしても視聴者の記憶に残りにくいものです。

そこで今、注目されているのが 「ストーリーテリング」 という手法です。

ストーリーテリングとは、情報をただ伝えるのではなく、物語の力を使って視聴者の感情に訴え、記憶に深く刻み込む表現方法です。

本記事では、ストーリーテリングについて、以下のポイントを中心に解説します。

  • ストーリーテリングの意味と目的
  • 記憶に残りやすい理由
  • ビジネスでの具体的な活用シーン
  • 基本となるストーリー構成

本記事を読むことで、あなたの動画は「ただの紹介」から、「人の心を動かす物語」へと変わり、届けたいメッセージがより強く、まっすぐ相手に届くようになるはずです。

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目次

ストーリーテリングの意味と目的

ストーリーテリングと聞いても、分からない人には全く分からないキーワードであることでしょう。

最初に、ストーリーテリングの基本的な意味と、ビジネスや動画制作で、なぜストーリーテリングが絶大な力を発揮するのか確認していきましょう。

ストーリーテリングとは?その本質

ストーリーテリングとは、単に事実や情報を羅列するのではなく、物語の形式を使って伝えたいメッセージを表現する手法です。

単に知識を「頭」で理解させるだけでなく、感情に訴えかけ、「心」に響かせることが本質です。

人は古来より物語に惹きつけられ、共感し、感動してきました。

これは、ストーリーが単なる情報伝達を超え、登場人物の感情や経験を通して、受け手に「追体験」させる力を持つからです。

データや説明だけではすぐに忘れてしまっても、感情を揺さぶるストーリーは強く記憶に残ります。

「言い換え」で理解するストーリーテリング

ストーリーテリングを分かりやすく言い換えるなら、以下のようになります。

  • 「事実を語る」のではなく「体験を共有する」
  • 「一方的な説明」ではなく「感情的な繋がりを作る」

ストーリーテリングは、単純に情報を「伝える」だけでなく、受け手の心に深く「届ける」ための技術なのです。  

ビジネスにおけるストーリーの力

情報が溢れる現代において、伝えたいメッセージを人々の心に届けるのは容易ではありません。

そんな中で、ストーリーテリングはビジネスにおいて非常に強力なツールとなります。

特に動画制作においては、ストーリーテリングの力が最大限に発揮されます。

映像、音声、音楽といった要素を組み合わせれば、視聴者はストーリーの世界に没入しやすくなり、より深く感情移入できるからです。

ビジネスでストーリーテリングを活用した時の主な効果は以下の通りです。

効果詳細
記憶定着率の向上ストーリーは単なる情報よりも圧倒的に記憶に残りやすい
共感と信頼の構築企業やブランド、商品・サービスの背景にある物語は、視聴者の共感を生み、信頼感を築ける
複雑な情報の簡易化難しい内容も、物語のフレームワークに入れることで理解しやすくできる
ブランディング強化と差別化独自のストーリーは、ブランドの個性を際立たせ、競合との差別化につながる
行動喚起心に響くストーリーは、商品購入やサービス利用といった具体的な行動を促す可能性が高い

ストーリーテリングは、論理だけでなく感情に働きかけることで、視聴者の心を掴み、あなたのメッセージを忘れられないものに変える力を持っています。

特に動画というメディアにおいて、このストーリーの力を活用できれば、ブランディング強化に繋がるでしょう。

センスメイキングとの違い

ストーリーテリングと混同されやすい概念に「センスメイキング」があります。

ストーリーテリングは、物語の流れを通じて感情に訴え、共感や記憶に残すことを目的とした手法です。

一方、センスメイキングは、複雑な情報や出来事を整理し、「なぜそうなったのか」「どう理解すべきか」を論理的に意味づける考え方を指します。

つまり、センスメイキングは理解を促すための整理、ストーリーテリングは理解した内容を感情に乗せて伝える表現手法です。

なぜ動画で効果的なのか?

ストーリーテリングが人の心を動かす力を持つことは理解できたとして、それがなぜ「動画」で使うと特に効果的なのか、気になりますよね?

ここでは、なぜ動画でストーリーテリングを活用すると効果的なのか、その理由を詳しく見ていきましょう。 

人の心を動かすストーリーの魔法

ストーリーテリングの本質は、感情に訴えかけることで人の心を動かす点にあります。

そして動画は、その「感情の動き」を増幅させる役目を持っています。

例えば映画を見ている時、感動的なシーンで流れる音楽が涙を誘ったり、登場人物の喜びの表情が画面いっぱいに映し出されて思わず笑顔になったりした経験を持つ人は多いことでしょう。

言葉や静止画だけでは伝えにくい以下の要素すべてが組み合わさると、ストーリーの世界観はより豊かになり、視聴者はより深く感情移入しやすくなります。

  • 登場人物の微妙な表情の変化
  • 声のトーン
  • 背景の美しい風景
  • 心に響くBGM など

ストーリーが持つ「人の心を動かす魔法」を、動画というメディアは最大限に引き出せるのです。 

記憶に残りやすい理由とは

ストーリーは元々、単なる事実よりも記憶に残りやすい性質を持っています。

動画を活用すれば、その記憶定着率をさらに高めます。

私たちは、見たもの(視覚)と聞いたもの(聴覚)を同時に処理することで、情報への理解を深め、記憶として定着させます。

動画の場合、ストーリーの展開に合わせて映像と音が連動するので、脳の中で複数の情報が関連付けられ、より強固な記憶のネットワークが形成可能です。

また、ストーリーには通常、以下の要素を持っており、この構造が、情報を受け手が整理し、理解するのを助けます。

  • 始まり
  • 展開
  • クライマックス
  • 結末

感情的に盛り上がったシーンや印象的な映像は、そのストーリー全体の記憶と強く結びつき、時間が経っても鮮明に思い出されやすくなるのです。

共感を生み行動を促す効果

ストーリーテリングにおいて重要な要素の一つに「共感」があります。

私たちはストーリーの中の人物や状況に自分を重ね合わせることで共感し、感情的な繋がりを感じます。

動画は、この共感を生み出す力を非常に高く持っているのです。

共感を生む動画の例や特徴、効果は以下表の通りです。

動画の内容特徴効果
ドキュメンタリータッチの動画実際の人物のインタビューや日常をリアルに映し出す視聴者はその人の立場や感情をより深く理解し、共感しやすくなる
企業紹介動画製品開発の舞台裏や、サービスによって顧客がどのように助けられているかといったストーリーを描く単なる機能説明よりも強い共感を生む

ストーリーにより共感が得られれば、信頼や親近感へと繋がり伝えたいメッセージへの納得感を高め、次に繋がる一歩を後押ししてくれる効果を持っています。

ビジネスで使える活用シーン

特別な場面だけでなく、日々の業務にも応用できるのがストーリーテリングです。

ストーリーテリングの力が分かったところで、具体的にあなたのビジネスシーンでどう活かせるのかをそれぞれのシーンで見ていきましょう。

動画や広告での活用法

動画制作に携わる人にとって最も身近なのがこの点と言えるでしょう。

動画や広告でストーリーテリングを使えば、商品やサービスの機能だけでなく、開発背景やユーザー体験談を感情的に伝え、記憶に残すことができます。

企業の理念やブランドイメージを物語で語り、共感を生むブランディング動画も効果的です。

短尺でも長尺でも、視聴者の心を掴むストーリー設計が鍵となります。

本記事では具体例として、AmazonプライムのCMをご紹介します。

引用:Amazonプライム新CM公開中

こちらは2017年に制作されたものですが、地方で一人暮らしをする祖母を気遣う孫の行動を通して、サービスの価値が描かれています。

孫が代わりにAmazon Primeで日用品を注文することで、必要な物がすぐに届き、祖母の暮らしが少しずつ明るく、快適になっていく様子が丁寧に表現されています。

機能説明ではなく、人の生活に寄り添う視点から利便性を伝える、ストーリーテリングの好例です。

プレゼンや商談で「ストーリー立てて話す」

プレゼンや商談では、データ羅列ではなくストーリーで話すことができれば、聞き手の注意を引きつけ、退屈させません。

提案に至るまでの物語や、顧客が製品・サービスで課題を解決した成功事例などを語ることで、納得感と記憶への定着率を高めます。

ストーリーテリングを活用できれば、聞いている人々の感情に訴えかけ、論理だけでは動かない相手の心を動かせる可能性が高まるでしょう。 

本記事では具体例として、スティーブ・ジョブスの初代iPhoneプレゼンをご紹介します。

引用:【歴史的瞬間】スティーブ・ジョブスの初代iPhoneプレゼン

スティーブ・ジョブズの初代iPhoneプレゼンは、「課題解決」を語るというより、期待を高めながら物語を一気に収束させる構成が特徴です。

音楽プレイヤー、電話、インターネット端末、これらが「すべて1つになる」という展開で会場の空気を一変させました。

点だった機能が一本の線につながる瞬間を演出することで、聴衆は理屈ではなく感情で価値を理解します。

この高揚感を生む話し方こそ、プレゼンや商談におけるストーリーテリングの真骨頂です。

採用活動や社内コミュニケーション

採用活動では、企業の働く環境や社員のやりがいをストーリーで伝え、求職者の共感を呼び志望度を高める効果があります。

入社後の成長ストーリーなどを示すのも有効になるでしょう。

社内では、成功事例や困難を乗り越えたエピソードなどを共有すれば、一体感や理念浸透、社員のエンゲージメント向上に繋がります。

本記事では具体例として、メガネブランド「JINS」の採用動画をご紹介します。

引用:jins|24卒向け採用動画

JINSの採用動画は、社員一人ひとりの日常を丁寧に映し出すことで、企業文化や価値観を自然に伝えています。

社員インタビューを通じて実際の声や働き方が語られ、視聴者は職場の雰囲気やチームの一体感を直感的に感じ取れる構成です。

単なる募集告知ではなく、社員の仕事観や成長ストーリーを描くことで共感を生む採用手法として優れた事例となっています。

ストーリーテリングの基本的な構成

いざストーリーを作ろうと思っても、「何から始めればいいの?」と戸惑うかもしれません。

実は、多くの人の心を掴むストーリーには共通の「型」や「構成」があります。

ここでは、ストーリーテリングの基本的な構成を確認していきましょう。

物語を組み立てる要素とは

ストーリーを作る上で欠かせないのが、以下の基本的な要素です。

要素詳細具体例
登場人物誰の物語か視聴者が共感する対象・顧客
・社員 など
舞台・設定いつ、どこで、どんな状況かの物語の背景・ある女性がお店で注文していた など
課題・葛藤乗り越えるべき問題や壁で、物語の中心となる・顧客の悩み
・市場の課題 など
出来事課題に対して何が起き、どう展開するか、物語の進行・顧客の問題に対して会議を行い改善策を見出した など
解決・結末課題がどうなり、物語がどう終わるか・課題解決
・得られた成果 など
テーマ・メッセージストーリーを通して最も伝えたいこと・会社の理念
・サービスの良さ など

これらの要素を明確にすることが、ストーリー作りの出発点です。 

典型的な3部構成

最も一般的で分かりやすいストーリーの構成は「3部構成」です。

「3部構成」の詳細は以下表の通りです。

場面詳細
始まり・物語の現状や舞台
・登場人物を紹介し中心となる「課題」や「問題」が発生する様子を描く
中間・課題解決に向けて登場人物が行動し、困難に立ち向かう展開を描く
・物語の緊張感が高まり、クライマックスへと向かう
終わり・課題が解決し、物語がどのように締めくくられるかを描く
・得られた成果や伝えたいメッセージを提示する大事な部分になる

上記の構成は、視聴者が自然に物語を追えるため、多くのコンテンツで採用されています。 

短いお話にも共通する型

短い動画や広告でも、ストーリーの核を凝縮した型が使えます。

  • 問題提起 → 解決策 → 結果:ターゲットの「悩み」を示し、その解決策として自社製品・サービスを提示、使用後の良い「結果」を見せる型
  • 〇〇でした → しかし → だから:過去の状態を示し、起きた「変化」や「課題」を経て、現在の状況や必要なことへ繋げる型

短いストーリーでも、核となる要素(課題、解決、結果など)を明確にし、感情の動きを作れば、視聴者の心に響かせること可能です。

基本的な構成や型を知れば、あなたのメッセージをストーリーとして効果的に伝えられるようになるでしょう。

初心者におすすめ!効果的なストーリーの作り方

心に響く動画ストーリーは、センスではなく「事前の設計」で決まります。

初心者の方でも、構成のポイントさえ押さえれば、説得力のある物語を作ることが可能です。

視聴者の心を一瞬で掴み、最後まで離さない動画を作るために、まずは土台となる以下の5つのステップから準備を始めてください。

  • ターゲットを明確にする
  • 伝えたい「核」を見つける
  • 登場人物を設定する
  • 感情に訴えかけるポイント
  • デジタルストーリーテリングのコツ

それぞれ、1つずつ確認していきましょう。

ターゲットを明確にする

ストーリー作りで最も重要かつ最初に行わなければならない事項は「誰に伝えたいか」を明確にする点です。

ターゲット層の年齢、興味、そして何より「悩み」や「価値観」を深堀りして、よく検討しましょう。

彼らが何に共感し、どんな情報に関心を持つのかを知ることが、響くストーリーを作る土台となります。

ターゲット像(ペルソナ)を具体的に描ければ、ストーリーの方向性が定まるでしょう。

伝えたい「核」を見つける

ストーリーを通して、視聴者に最も強く印象付けたいメッセージやテーマは何か明確にしましょう。

視聴者に最も強く印象付けたいメッセージやテーマがストーリーの「核」です。

「このストーリーは何についてのものか?」を一言で言えるようにしましょう。

商品・サービスの強み、企業理念、解決したい社会課題など、伝えたい「核」がブレないと、ストーリー全体に一貫性が生まれ、視聴者に意図が正確に伝わります。 

登場人物を設定する

ストーリーテリングにおいて、視聴者の感情移入を促す上で最も重要な要素の一つが「登場人物」です。

皆さんが設定したターゲットが共感できる、魅力的でリアルな登場人物を設定しましょう。

完璧で非の打ち所がない人物よりも、悩みや弱さ、葛藤を抱えながらも前に進もうとする人物の方が、視聴者は自分を重ね合わせやすく、応援したくなります。

ビジネスストーリーでは、製品・サービスの開発に情熱を傾ける社員、あるいは特定の課題に直面している顧客などを登場人物とすることができます。

登場人物には、彼らがなぜその行動をとるのか、どんな想いを抱えているのかといった内面的な描写を加えることで、より深みが増します。

物語を通して、登場人物がどのように変化し、成長していくのか(あるいは変化を拒むのか)を描くことも、視聴者の心に響くストーリーにするための重要なポイントです。

登場人物が直面する課題や感情を丁寧に描くことで、視聴者は彼らの旅に同行しているかのような感覚を覚え、共感を得られやすくなるでしょう。

感情に訴えかけるポイント

ストーリーを単なる情報の羅列にしないためには、感情を揺さぶる工夫が必要です。

具体的な描写で五感に訴えかけ、登場人物の感情を明確に描きましょう。

困難や逆境を乗り越える過程は感動を生み、普遍的なテーマ(希望、挑戦など)はより多くの人の共感を呼びます。

特に動画では、映像や音楽が感情を増幅させる重要な役割を果たします。 

デジタルストーリーテリングのコツ

デジタルメディアならではのストーリーテリングのコツも押さえておきましょう。

ここで紹介するコツは以下の通りです。

コツ詳細
冒頭で引きつける最初の数秒で視聴者の興味を引けるよう衝撃的な映像、問いかけ、美しい風景など、一瞬で心を掴む工夫をする
視覚と聴覚を最大限に活用映像、音声、音楽、テロップなど様々な要素をストーリーに合わせて効果的に組み合わせる
短い尺でもストーリーを成立させる伝えたい核を絞り、感情の山を一つ作ることを意識する
インタラクティブ性コメント機能や投票機能など、ユーザーがストーリーに関われる要素を取り入れる
プラットフォーム特性の理解各プラットフォーム(YouTube、Instagram、TikTokなど)のユーザー層や視聴習慣に合わせて、ストーリーの構成や表現方法を調整する

これらのステップとデジタルならではのコツを組み合わせることで、あなたの動画制作は単なる情報伝達から、人の心を動かすアートへと進化するはずです。

まずは小さなストーリーからでも良いので、これらの要素を意識して作ってみましょう。

すぐに使えるフレームワーク

ストーリーテリングを始めるにあたり、「型」であるフレームワークを知っているとスムーズに制作が進みます。

ここでは、様々なフレームワーク紹介していくので、しっかり確認しておきましょう。

代表的なストーリー構成法

物語には普遍的な構造が存在します。有名なものには以下の構成があります。

  • 主人公の成長を描く「ヒーローズ・ジャーニー(英雄の旅)」
  • 物語の骨子を7つのパターンに分類する「セブン・ストーリー・アーキタイプ」

これらは複雑ですが、多くの物語の参考になるでしょう。

ビジネス事例を語る際の「STARメソッド(状況→課題→行動→結果)」も簡潔な型として応用可能です。 

初心者におすすめの型

以下のようなまずはシンプルで実践しやすい型から試してみましょう。

フレームワーク内容詳細
PCC構造 (Problem – Cause – Solution)「問題 → 原因 → 解決策」の流れで、課題とその解決方法を論理的に、かつ感情を加えて伝える
SCQAフレームワーク (Situation – Complication – Question – Answer)「現状 → 問題 → 問い → 答え」の流れで、プレゼンや動画冒頭で聞き手の関心を引きつけ、提案へと導くのに効果的
「なぜ → どうやって → 何を」のゴールデンサーク企業の目的や信念(なぜ)から語り始め、実現方法(どうやって)、提供するもの(何を)へと進むことで、強い共感を生むブランディングなどに適している

これらの型は、あなたの伝えたいメッセージを整理し、ストーリーとして構成する手助けとなります。

目的に合わせたフレームワーク選び

ストーリーテリングには様々なフレームワークがあります。

どれを使えば良いかは、あなたの「目的」と「伝えたい内容」、「動画の尺」によって変わってきます。

動画の内容とフレームワークの選択例は以下の表の通りです。

動画の種類適したフレームワークの例
商品・サービスの紹介動画・「問題提起 → 解決策 → 結果」の型
・「ヒーローズ・ジャーニー」の簡易版
・顧客の「Before/After」をリアルに描くストーリー
企業ブランディング動画・「なぜ → どうやって → 何を」のゴールデンサークル
・企業が困難を乗り越え成長していく「課題克服」や「再生」のアーキタイプ
プレゼンやセミナー・聞き手の課題を提示し、共感を呼びながら解決策へと導く「PCC構造」
・関心を引きつける「SCQAフレームワーク」
・具体的な事例を語る際には「STARメソッド」
短いSNS動画や広告・「問題提起 → 結果」のように要素を絞ったシンプルな型
・「〇〇でした → しかし → だから」といった変化を強調する構造

最初は難しく考えず、皆さんの伝えたいメッセージに一番フィットしそうな型を選んでみましょう。

フレームワークはあくまで皆さんのストーリー作りの助けとなるツールです。

型を使いながらも、そこに皆さん自身の言葉や感情、独自のアイデアを盛り込み、視聴者の心に響くオリジナルなストーリーを生み出していってください。

有名企業・サービスの成功事例

ストーリーテリングが実際にどのように使われているのか、具体的な成功事例を見てみましょう。

有名企業やサービスの事例を知ることは、あなたの動画制作のヒントになります。 

心に残る広告事例を見る

広告では、製品説明ではなく、視聴者の感情に訴えかけるストーリーで心に残ります。

感動的な家族の絆や、ユーモラスな日常の出来事を描き、製品はさりげなく登場させる手法が効果的です。

本記事では具体例として、Appleの広告をご紹介します。

引用:Apple CM「Misunderstood」

AppleのCM「Misunderstood」は、クリスマスに集まった家族の中で、ひとりスマホばかり触っている少年を描いたストーリーです。

「せっかくの団らんなのに」と寂しさを感じますが、最後に少年が見せたのは、家族を想って撮り溜め、編集した映像でした。

「スマホ依存」という先入観を覆し、iPhoneを「愛や絆を形にする道具」として再定義した、心に残る広告事例です。

企業ブランディングの成功例

企業の理念や価値観を伝えるブランディングでもストーリーは重要です。

創業者の熱い想いや、社員の地道な努力、社会貢献活動の様子などを物語として見せることで、企業の「人間性」が伝わり、信頼や共感に繋がります。 

本記事では具体例として、デンソー ブランドステートメントムービーをご紹介します。

引用:デンソー ブランドステートメントムービー (60秒)

デンソーのブランドステートメントムービーは、「この世界はまだ、できてないことだらけだ」という力強い言葉から始まり、技術で社会を前進させてきた企業の姿勢を物語として描いています。

できなかったことが「できる」に変わり、それが人々の「あたりまえ」になっていく、その積み重ねこそが、より良い社会をつくるというメッセージです。

機能や実績を語らずとも、「実現力のプロフェッショナル集団」というブランドの本質を深く印象づける、企業ブランディングの成功例と言えるでしょう。

効果的な動画活用の事例

動画はストーリーテリングと非常に相性が良いメディアです。

Web限定の長尺ストーリー動画で深い共感を呼んだり、ユーザーからの投稿(UGC)を繋げてリアルなストーリーを見せたりと、動画ならではの表現力で物語の効果を高めています。 

本記事では具体例として、ザ・スーツカンパニーのWebCMをご紹介します。

引用:ザ・スーツカンパニー新WebCM公開

ザ・スーツカンパニーのWebCMは、withコロナ時代ならではの家族の物語を丁寧に描いた好例です。

コロナ禍で多くの行事が中止される中、ようやく迎えられた息子の成人式。

その節目に、父親が息子のためにスーツを仕立てる姿を通して、言葉にしづらい親の愛情や成長への想いが静かに伝わってきます。

「人生の大切な瞬間に寄り添う存在」としてスーツを描くことで、視聴者の共感を自然に引き出している点が特徴です。

長尺動画だからこそ可能な感情の積み重ねが、ブランドへの信頼と好意を深める、効果的な動画活用事例と言えるでしょう。

事例から学ぶ活用のヒント

成功事例に共通するポイントは、ターゲットが共感できるテーマを見つけ、感情の変化を丁寧に描いている点です。

製品やサービスそのものを前面に出すのではなく、それを使う「人」や、解決される「悩み・課題」に焦点を当てることで、物語は一気に自分ごとになります。

本記事では具体例として、セイバンのランドセル選びドキュメンタリーをご紹介します。

引用:【セイバン公式】ランドセル選びドキュメンタリー篇

セイバンの「ランドセル選びドキュメンタリー篇」は、商品を前面に出すのではなく、親子の感情の揺れに焦点を当てた動画活用の好例です。

最初に子どもが指令をもらって選ぶのは、「親が喜びそうなランドセル」でした。

しかし改めて自分の好きなものを選ぶと、その表情や言葉が明らかに変わります。

その様子をモニタリングする保護者も、「子ども自身が選ぶ意味」に気づかされていく構成です。

「キミが好きなの、キミが選ぼう。」というメッセージは、押しつけではなく体験を通して自然に伝えられ、視聴者自身の記憶や感情と重なります。

商品説明以上に共感を生む、ストーリーテリング型動画の代表的な事例と言えるでしょう。

海外企業の面白い取り組み

海外では、アスリートの挫折と挑戦を描くことでブランド価値を伝えたり、データを使って一人ひとりにパーソナライズされたストーリーを見せたりと、多様な取り組みが見られます。

新しい視点やテクノロジーの活用は参考になるでしょう。

本記事では具体例として、スポーツブランドNikeの「Dream Crazier」をご紹介します。

引用:Nike – Dream Crazier | #JustDoIt

この動画は女性アスリートが直面してきた偏見や限界を正面から描き、それを乗り越える姿を力強く映し出しました。

個々の挑戦の積み重ねを通じて、スポーツを超えた「夢を追え」という社会的メッセージを発信し、見る人自身の行動を後押しするストーリーテリングが印象的な事例です。

よくある質問

ストーリーテリングについて学び始めると、様々な疑問が湧いてくるものです。

ここでは、ストーリーテリングに取り組む上で抱きやすい、いくつかのよくある質問を紹介します。

ストーリーテリングは作成が難しいですか?

難しく考える必要はありません。

ストーリーテリングの基本は、あなたの経験や伝えたいメッセージを「物語の形」で語りましょう。

子どもの頃に聞いたお話や、友達に面白かった出来事を話すのもストーリーテリングの一種です。

基本的な構成要素やフレームワークを参考にすれば、誰でも始められます。

完璧を目指すより、まずは伝えてみることから挑戦しましょう。

練習を重ねれば、必ず上達しますよ。 

ストーリーテリング作成時の注意点はありますか?

ストーリーテリングを作成する際は、ユーザーが共感できる等身大の視点を取り入れることが欠かせません。

視聴者が自分自身を重ねられる構成にすることで、物語は単なる演出ではなく、行動につながるメッセージとして機能します。

また、情報を詰め込みすぎないことも重要です。

一つの物語では、伝えたいメッセージを一つに絞り、シンプルに描く方が記憶に残ります。

最後に、必ず「この物語を通じて、相手にどう感じてほしいか」という「感情のゴール」を明確にしましょう。

効果測定はどうすればいいですか?

ストーリーテリング動画の効果測定は、単なる再生回数だけでは不十分です。

視聴維持率が高いか、コメントやシェアといった反応があるか、共感や感動を示す好意的なコメントが多いかなど、視聴者の「感情的な反応」を測ることが重要です。

さらに、動画が問い合わせや購入といった最終的な行動にどれだけ繋がったか、ブランドイメージが向上したかなども含めて多角的に評価しましょう。

アンケートで感想を聞くのも有効です。

まとめ

本記事では、ストーリーテリングとは何か、また初心者におすすめの作り方や事例などを解説してきました。

本記事をまとめると以下の4点です。

  • ストーリーテリングは、物語の形式を使って伝えたいメッセージを表現する手法
  • 動画と組み合わせることで視聴者により深い共感を与える可能性を秘めている
  • ストーリーテリングと似た手法に、センスメイキングがある
  • ターゲットや視聴者に伝えたいメッセージは、1つに絞る

ストーリーテリングは、情報を「理解させる」だけでなく、記憶に残すための有効な手法です。

特に、お絵描きムービーのように「物語が目の前で形になっていく表現」は、価値や理念を直感的に理解してもらうのに適しています。

伝えたい想いを、相手の記憶に残る形で届けたいと考えるなら、ストーリーテリング×動画という選択肢は、一度検討する価値があるでしょう。

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