動画広告の効果を論文データから調査!メリット・デメリットも徹底解説!
動画広告は顧客獲得効果が高く、静止画広告よりも効果的であることが調査結果で分かっています。
今回は、論文データに基づいた最新の調査結果から、動画広告の効果を徹底解剖、メリットだけでなくデメリットも徹底解説します。
動画広告とは?
動画広告とは、インターネット上で配信される動画を利用した広告手法で、効果的なマーケティング戦略を立案する上で、欠かせないツールの一つです。
商品やサービスの魅力をより効果的に伝えることができ、ユーザーの購買意欲を高めることができます。
近年、その市場規模は急速に拡大しています。
主な活用場所
動画広告は、テレビCMと比べて、より詳細なターゲティングやコスト効率的な配信が可能なため、近年注目を集めています。
動画広告を活用できる場所は様々ですが、代表的なものをいくつかご紹介します。
- YouTube
世界最大の動画共有プラットフォームであるYouTubeは、動画広告の配信に最も適した場所の一つです。
インストリーム広告、バンパー広告、マストヘッド広告など、目的に合わせた様々なフォーマットの動画広告を配信できます。
年齢、性別、地域、興味関心など、詳細なターゲティング設定により、最適な視聴者に広告を届けることができ、ユーザーは動画を積極的に視聴するため、高いエンゲージメントを獲得できます。
Facebookも動画広告配信に適したプラットフォームです。
圧倒的なユーザー数で世界中に29億人を超えるユーザーを持つため、多くの人に広告を届けることができます。
インフィード広告、ストーリー広告、ライブ広告など、様々なフォーマットの動画広告を配信でき、Facebookのデータに基づき、精度の高いターゲティング設定が可能です。
急成長しているInstagramも、動画広告配信に有効なプラットフォームです。
写真よりも視覚的な訴求力が高い動画広告は、Instagramで効果を発揮しやすいです。
ストーリー機能を活用した動画広告は、臨場感があり、インフルエンサーを活用した動画広告は、高いエンゲージメントを獲得できます。
- その他
上記以外にも、TikTok、LinkedInなど、様々なプラットフォームで動画広告配信が可能です。
動画広告の効果を論文データから解説
動画広告の効果を論文データから解説することは、マーケティング分野において重要な研究テーマです。
膨大なデータと分析を通じて、動画広告がどのようにして消費者行動やブランド認知に影響を与えるのかを明らかにすることが可能です。
動画広告に効果があったと主張
2019 年は前年比 57%増の 3,184 億円だった。東洋経済オンライン(2020)によると、牽引役が YouTube の広告であり、広告代理店幹部は「動画広告ならまず YouTube。顧客への企画提案でも必ず入れるようになった。」と話している。
引用元:蛭田いづみ「YouTubeにおける動画広告に関する研究」.pdf
こちらの論文では広告業界における動画広告の成長は顕著であり、インターネット広告が急速に拡大していることが示されています。
2019年の国内統計によると、インターネット広告費が地上波テレビ広告費を初めて超え、特に動画広告が最も成長していることが明らかになっています。
YouTubeの広告が牽引役であり、企画提案においても重要な役割を果たしていることが分かります。
株式会社しまむらは 2021 年 4 月5 日、21 年 2 月期連結決算を発表し、4 期ぶりの増収増益を果たしたのだ。広告戦略の見直しを行ったのが吉となり、第2四半期からデジタル広告を、第3四半期からは動画広告の出稿を増やし、客足増加につなげた。
引用元:蛭田いづみ「YouTubeにおける動画広告に関する研究」.pdf
特にコロナ禍の影響により、一部の企業はテレビ広告予算を削減し、その多くをYouTubeなどの動画広告に移行しています。
しまむらの事例では、デジタル広告と動画広告へのシフトが増収増益につながったことが示されており、ターゲットを考慮した広告戦略の見直しが成功に繋がったようです。
動画広告は低コストで効果的な広告出稿が可能であり、ターゲット層を考慮したパーソナライズされた広告展開が売り上げ向上に直結することが示唆されています。
この傾向は今後も継続し、企業がマーケティング戦略において動画広告を重要視する傾向が強まることが予想されます。
動画広告は静止画より1.7倍の印象を与える
動画広告の効果と価値についても触れていきたいと思います。
株式会社電通と株式会社ディーツーコミュニケーションズが実施した、日本市場で普及が進む「iPhone」向けの広告に関する調査によると、動画広告は静止画の広告に比べて 1.7 倍印象に残りやすく、視聴後 4 割のアクション喚起が可能であるという。
引用元:蛭田いづみ「YouTubeにおける動画広告に関する研究」.pdf
視聴後には4割の人が何らかのアクションを起こす可能性が示されており、動画は動きがあり、多くの情報を伝えやすく、視聴者の記憶にも残りやすいです。
また、感情を喚起する力が強く、視聴者の選択や行動に大きな影響を与えるため、広告コミュニケーションでアクションを促す目的において、動画は非常に効果的です。
現代の生活者にとって、動画広告はより効果的であり、インターネット上で重要な広告手法となっていると考えられます。
動画広告の挿入位置で効果が変わる
本研究では、動画コンテンツの冒頭、末尾、中盤の挿入位置が記憶と購入意向へ及ぼす影響を検証した。オンライン調査で得たデータをもとに検証した結果、記憶を高めることを目的とした場合は中盤,購入意向を高めることを目的とした場合は冒頭に動画広告を挿入することが有効であることが明らかになった。
引用元:J-STAGE
近年、動画広告の挿入位置に関する研究が行われていますが、これまで中盤のみが焦点とされており、冒頭や末尾との比較が不十分でした。
この研究では、動画コンテンツの冒頭、末尾、中盤に広告を挿入することが記憶と購入意向に与える影響を調査したものです。
オンライン調査から得られたデータによると、記憶を高める場合は中盤に、購入意向を促進する場合は冒頭に広告を挿入することが効果的であることが分かりました。
また、購入意向に影響を与える要因は、視聴者の属性よりも動画コンテンツや広告への態度であることが明らかになっています。
今後は、商品やサービスの種類を考慮し、動画広告の挿入位置が与える影響を評価するために一般化や商品間の違いと位置の違いを検討していく予定となっています。
動画広告の対象商品やサービスを多様化させることで、一般化や商品間の違いと広告位置の影響を評価することが重要です。
動画広告の挿入位置による影響を評価するためには、以下の方法が考えられます。
- オンライン調査とデータ分析
オンライン調査を通じて視聴者の反応や行動を収集し、データを分析することで広告効果を評価 - 定量的、定性的評価
広告挿入位置ごとに記憶や購入意向などの指標を定量的に評価し、同時に視聴者や社内からのフィードバックなど定性的な要素も考慮する - PDCAサイクルの活用
結果を元に改善策を導入し、継続的に評価・改善を行うPDCAサイクルを活用して、効果的な広告戦略を構築 - 動画投稿プラットフォームデータの活用
YouTubeなどのプラットフォーム経由で得られるデータを分析し、視聴者層や評価数などから広告効果を評価 - メディア関係者や視聴者からのフィードバック
広告挿入位置に関するフィードバックや反応を収集し、これらの情報も評価に取り入れて広告戦略を改善
これらの手法を組み合わせて、動画広告の挿入位置が記憶と購入意向に与える影響を包括的に評価することが重要です。
動画広告を活用するメリット
動画広告は情報を効果的に伝えるだけでなく、視聴者とのつながりを深めるための有力なツールと言えます。
ストーリーテリングや感情を伝える力が強く、視聴者の記憶に残りやすいという利点があります。
短時間で多くの情報を提供できる
動画広告を活用するメリット1つ目は短時間で多くの情報を効果的に提供できる点です。
通常のテキストや画像広告よりも、動画は視聴者に迅速かつ効果的に情報を伝えることが可能です。
短い時間内に多彩な情報やメッセージを視聴者に伝えることで、効果的な広告キャンペーンを展開することができます。
このように、動画広告は簡潔かつ効果的に情報を伝達する手段として優れています。
インパクトがあると記憶に残りやすい
動画広告を活用するメリット2つ目は、インパクトが強く、視聴者の記憶に残りやすいという点です。
動画は視覚的な要素やストーリーテリングを活かして情報を伝えるため、視聴者に強烈な印象を与えることができます。
このようなインパクトがある動画広告は、視聴者の記憶に深く刻まれやすく、ブランドやメッセージが長期間にわたって覚えられる効果があります。
そのため、動画広告は印象的で記憶に残りやすい広告手法として非常に有効です。
ストーリー性を伝えやすい
動画広告を活用するメリット3つ目は、ストーリー性を伝えやすいという点です。
動画広告は、静止画やテキストでは伝えきれない魅力を、五感に訴えかけ、記憶に深く刻み込む力を持っています。
それは、情報を伝えるだけではなく、商品やサービスの背景にあるストーリーを語り、ユーザーの共感を呼び起こすことができるからです。
この特性により、視聴者に対して情報だけでなく感情やストーリーを伝えることが可能です。
視聴者はストーリーに共感しやすく、広告のメッセージがより深く理解されやすくなります。
そのため、動画広告はストーリー性を活かしてブランドや製品の魅力を伝えるのに適した媒体と言えます。
効果測定がしやすい
動画広告を活用するメリット4つ目は、効果測定がしやすいという点です。
動画広告では、視聴回数や視聴時間、クリック数などのデータを簡単に収集し分析することができます。
これにより、広告の効果や視聴者の反応を評価しやすく、キャンペーンの成功度や改善点を把握することが可能です。
効果測定がしやすいことから、動画広告を活用することでリアルタイムでキャンペーンの成果を把握し、効果的なマーケティング戦略を展開することができます。
動画広告を活用するデメリット
動画広告は効果的なマーケティング手法でありながら、いくつかのデメリットも存在します。
動画広告はクオリティの高い映像や編集が必要であり、そのため制作には多くの時間と資金が必要となります。
さらに、ターゲット層への正確なターゲティングや視聴者の関心を引くことも難しい側面です。
これらの要素を考慮しながら、動画広告を活用する際には慎重な計画と戦略が求められます。
時間やコストがかかる
動画広告は、高い訴求力で多くのユーザーにアプローチできる魅力的な広告手法です。
しかし「時間とコストがかかる」というデメリットがあります。
静止画やテキスト広告とは異なり、動画広告は企画・撮影・編集など、制作に多くの工程が必要です。
- 企画:ターゲット層に刺さる、魅力的なストーリーを練り上げる
- 撮影:機材や場所の準備、出演者の選定など、綿密な計画と実行が必要
- 編集:映像と音声を効果的に組み合わせ、メッセージを伝える
これらの工程は、専門知識やスキルが必要となるため、自社で制作しようとすると、想像以上の時間と労力がかかります。
また、魅力的な動画広告を作るには、機材やソフトウェアなどの初期費用はもちろん、撮影費用や編集費用など、制作過程で多くのコストが発生します。
- 機材:高画質な映像を撮影するためのカメラや照明などが必要
- ソフトウェア:編集作業に必要な動画編集ソフト
- 人件費:撮影スタッフや編集者の費用
特に、プロのスタッフを起用したり、高度な編集技術を必要とする場合は、コストが大幅に増加します。
動画のクオリティ次第で印象を悪くする
動画広告は、テキストや画像広告よりも多くの情報を伝えられるため、商品やサービスの魅力を効果的に伝えられる可能性を秘めています。
しかし、動画のクオリティが低い場合、逆効果になり、企業やブランドのイメージを損なう可能性もあります。
低クオリティ動画が招く悪影響として、
- 視聴者に不快感を与え、離脱を促してしまう
- ブランドイメージを損ない、信頼性を失墜させてしまう
- 広告効果が得られず、費用対効果が低くなる
などがあります。
スキップされて見てくれない可能性がある
動画広告は多くの情報を伝えられるため、商品の魅力を効果的に伝えられる広告手法です。
しかし、視聴者が動画広告をスキップしてしまう可能性があり、せっかく制作した広告が効果を発揮できないというデメリットがあります。
スキップされる理由として、
1. 興味がない
視聴者が動画広告に興味を持てなければ、スキップされる可能性が高いです。
ターゲティングがずれていたり、動画の内容が視聴者にとって魅力的ではない場合が考えられます。
2. 時間がない
忙しい視聴者は、長い動画広告を最後まで見る時間がない場合があります。
動画広告の長さが視聴者の許容範囲を超えている可能性があります。
3. 広告であることが分かりやすい
動画広告が最初から広告だと分かりやすい場合、視聴者は興味を失い、スキップしてしまう可能性があります。
4. 音が大きい
視聴者が音を出せない環境にいる場合、音声が大きい動画広告はスキップされる可能性があります。
動画広告の効果からわかる活用事例
動画広告は、その魅力的な表現方法や情報伝達力により、多くの企業がマーケティング戦略に取り入れています。
以下に、動画広告の効果を示す具体的な活用事例を紹介します。
商品やサービスの認知拡大
動画広告は、商品やサービスの認知拡大に非常に効果的です。
実際、動画広告の効果から見ると、さまざまな活用事例があります。
例えば、SNS上での動画広告は、視覚的な要素を活かしてユーザーの興味を引き、ブランドや商品の認知度を高めることができます。
さらに、動画広告は短い時間で多くの情報を伝えることができるため、商品やサービスの特徴や魅力を効果的に伝える手段としても活用されています。
また、動画広告は視聴者の感情や記憶に訴える力が強いため、ブランドイメージの構築や顧客への印象付けにも有効です。
特にストーリー性のある動画広告は、視聴者に強い印象を残し、ブランドへの好意や信頼を高めることができます。
企業のブランディング
動画広告は企業のブランディングにおいても非常に有効です。
動画広告の効果から見ると、企業のブランディングにおける活用事例は多岐にわたります。
例えば、企業の理念や価値観を伝える動画広告は、視聴者に企業のイメージや信頼性を訴求することができます。
また、企業の歴史や製品の特長を紹介する動画は、視聴者に企業の魅力や強みを伝える手段として効果的です。
さらに、動画広告は視聴者とのエンゲージメントを高めることができるため、企業のブランド認知度向上や顧客ロイヤルティの構築にも貢献します。
特にクリエイティブで魅力的な動画広告は、視聴者に強い印象を与え、企業のブランドイメージを強化することができます。
購買意欲の向上・販売促進
動画広告は、購買意欲の向上や販売促進に非常に効果的です。
動画広告の効果から見ると、購買意欲の向上や販売促進に関する活用事例は多岐にわたります。
例えば、商品やサービスの魅力をダイナミックに表現する動画広告は、視聴者の興味を引き、購買意欲を高める効果があります。
また、特典やキャンペーン情報を伝える動画広告は、視聴者に購買を促す要素を提供し、販売促進につながります。
さらに、商品の使用方法や効果を実演する動画広告は、視聴者に製品の価値を実感させることができるため、購買意欲を高める効果があります。
また、限られた時間で商品の魅力を伝えることができる動画広告は、視聴者に直接的な行動へと導くことができるため、販売促進に効果的です。
動画広告の効果が得られない失敗しがちなポイント
動画広告の効果が得られない場合、企業が陥りがちな失敗しがちなポイントがあります。
これらのポイントを把握し、避けることが重要です。
動画を使い回している
失敗しがちなポイントとして、動画を使い回すことや、媒体やターゲットに合わせないことが挙げられます。
動画を使い回すと、視聴者の興味を引く新鮮さや独自性が失われ、効果が薄れてしまう可能性があります。
また、媒体やターゲットに合わせない場合、ターゲット層の興味やニーズに沿った内容でないため、効果的な広告として機能しづらくなります。
したがって、動画広告を成功させるためには、常に新しいコンテンツを制作し、ターゲット層や使用する媒体に合わせて最適化することが重要です。
動画の企画と撮影の意思疎通ができていない
企画と撮影の段階で、制作チーム間で十分な意思疎通ができていない場合、動画広告の効果が得られにくくなります。
企画担当者はターゲット層を明確に定義していない: 誰に伝えたいのか、ターゲット層のニーズや興味関心が把握できていないと、視聴者の心を掴む動画は作れません。
企画の目的や伝えたいメッセージが撮影に反映されていなければ、視聴者に意図が伝わらず、効果が薄くなります。
企画と撮影の進行状況を共有し、定期的に確認することで、問題点やズレを早期に発見・修正することができます。
ターゲット層を明確に定義し、そのニーズや興味関心を徹底的に分析し、企画担当者と撮影担当者が密にコミュニケーションを取り、企画意図を共有することが大切です。
定期的なミーティングや進捗確認を行い、問題点やズレを早期に発見・修正するようにしましょう。
PDCAを行っていない
動画広告の効果を最大限に引き出すためには、PDCAサイクル(Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善))を適切に実施することが重要です。
PDCAを行わないことが失敗の原因となることがあります。
計画を立てずに適当な広告を制作したり、実行後のデータ分析や評価を怠ったりすることで、効果的な動画広告の作成や改善が困難になります。
PDCAサイクルを通じて、効果的な動画広告戦略を構築し、継続的に改善を図ることが重要です。
動画広告の効果まとめ
動画広告は、多くの視聴者に訴求できる強力なマーケティングツールです。
しかし、効果的な動画広告制作には、企画と撮影の意思疎通、ターゲット層への理解、効果測定など、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。
今回解説したように多くのメリットを持つ広告手法ですが、デメリットも存在します。
効果的な動画広告を制作するためには、上記のポイントを踏まえ、適切な運用を行うことが重要です。
この記事を参考に、効果的な動画広告制作を目指しましょう。